カイロプラクティック大学協会の定義によると、脊椎のズレは「関節に機能的、構造的、病理学的変化が複合的に起きる症状」の事で、神経、内臓の機能、健康全般に障害をきたします。
脊椎のズレがおきると、その部分を司っている神経の活動が妨害されます。神経だけでなく、構造にも変化を起こします。これらの変化は時間が経ち脊椎のズレが背骨に刺激を与えれば与えるほど、悪化していきます。
どんな種類の機能障害が起きているのかを理解することによって、 脊椎のズレがいつから起きているのかを比較的正確に推測することが出来、治療にどれだけの時間が必要であるかを知ることができます。
これは首の右側側面のレントゲン写真です。この写真の背骨を、正常とします。同じページの下にある写真と比べてみてください。通常、首は前の方に曲がっていることが分かると思います。このカーブによって衝撃を吸収することができるのです。第二頸椎から第七頸椎までの椎間板のスペ-スがどれくらいの厚みで、等間隔であるかご覧いただけると思います。また、 椎体(椎骨の前の部分)がかなり四角形に近い形で、はっきりとした輪郭を持っていることもお分かりになると思います。
このような状態は、正常な首の状態であるといえます。背骨の他の部分の椎骨も、正常であれば、今ご覧になっているものと同じような特徴がみられます。
しかし脊椎のズレがおきて、治療せずに放っておくと、この部分が執拗な変化にさらされ、その結果、神経へのダメージとともに背骨の構造と機能にもダメージが起こり、神経がきちんと伝達されないことによる健康阻害が生じてきます。
Subluxation degeneration (脊椎のズレの退化変性)の第1段階
脊椎のズレの退化変性 の第1段階は、背骨の通常のカーブが変化したり失われたりすることが特徴として挙げられます。この例をご覧になれば、通常の前方へのカーブ(脊椎前湾)が失われていることが分かると思います。この背骨は、首の辺りで通常とは逆の方向にさえカーブができています。椎間板の形にも少し変化が出始めています。1つ良い点は、椎骨の椎体(四角形の形をした前の部分)が依然としてはっきりとした輪郭を持っているということです。部分的な動きは正常ではないかもしれませんが、全体の動きはまだ影響を受けていません。gく
この段階のカイロプラクティックケアは6から18ヶ月を要します。また、この段階の患者さんの80%は痛みを感じていませんので、治療せずに放っておくと、結果的には次の段階へ症状が進行することになります。
Subluxation degeneration(脊椎のズレの退化変性) の第2段階
脊椎のズレの退化変性 の第2段階は、背骨の正常なカーブが失われる、椎骨がずれる、部分的に動きに異常が見られるなど、前段階に似た症状が見られます。さらに、第二段階にある多くの患者さんは、患部の動きが制限されています。レントゲン写真で見ると、カルシウム分の変化、またはある程度の蓄積が背骨に見られるようになってきます。これらの変化はspurとかarthritisなどの名前で呼ばれます。問題の椎骨の椎間板のスペースも目に見えて狭くなり、ほとんど平板化しているように見えます。
この段階の患者さんは、まだ表立った症状が認められないかもしれませんが、体の硬さや痛みは感じ始めているかもしれません。この段階のカイロプラクティックケアは1年半から2年半かかります。また、この段階で治療せずに放置しておくと、さらに次の段階へ症状が進行してしまうことになります。
Subluxation degeneration(脊椎のズレの退化変性) の第3段階
脊椎のズレの退化変性 の第3段階は、前2段階の全ての症状がさらに悪化した状態で見られます。背骨のカーブが異常をきたし、椎間板のスペースも非常に狭くなっています。この段階では背骨のカルシウム分の変化も顕著です。大抵この段階の患者さんは、背骨の動きがさらに限定され、何らかの症状も見られるようになります。椎骨の形は明らかに変化、変異をおこしています。Spurとかlippingと呼ばれるカルシウムでできた突起物が、レントゲンでもはっきりと見られるようになります。この段階のケアは2年半から3年半かかります。しかしだからといって、ケアが終わる頃にカルシウム分の蓄積が消えてなくなるというわけではありません。多くの場合、体は突起物の存在に適応してしまっています。しかし機能的な観点からいうと、前向きな変化は見られます。同じように、この状態を放置すると次の段階へと進行してしまいます。
Subluxation degeneration(脊椎のズレの退化変性) の第4段階
脊椎のズレの退化変性 の第4段階は、大変深刻で、患者さんの寿命や生活の質にも悪影響を及ぼしています。長い間の脊椎のズレにより、神経的なダメージが広範囲に及び、健康状態にかなり深刻な被害が見受けられます。この段階のレントゲン写真には、深刻な構造的変化が見受けられます。椎骨のカルシウム分が大きく変化し、椎間板の隙間がはっきりしなくなり、骨そのものもほとんど融解しているかのように見えます。このような状態では、患者さんには疾患が複数見られるうえに、かなり動きの自由が利かなくなっています。この段階での治療はたいへん難しいのですが、残りの人生の質を向上させることを目標にしながら、ケアによって脊椎のズレを減少させることはできます。構造的に神経的に、この段階の患者さんは大変深刻な症状を抱えていますが、もちろん絶望的というわけではありません。多くの方がかなり症状を回復させ、体の自由を取り戻し、質の高い生活を取り戻していることが報告されています。
上記の記述はあくまで指標であって、必ずこうなるというものではありません。人それぞれ症状は違うものです。症状の悪化も、回復も人それぞれです。脊椎のズレを長く放置すればするほど、治療は難しく、時間のかかるものとなります。だからこそ我々は早い段階で治療し、症状の悪化を防ぐことを常に強くお薦めしているのです。もしあなたが治療を受けていらっしゃらないのなら、今こそがはじめる時です!
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